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令和3年度相続税改正

相続税が改正される時、前年度までに国税庁及び財務省から翌年度の改正内容がプレスリリースされます。これは毎年度行われており、改正案が前年度の12月に閣議決定されるため、令和4年度の税改正であれば、令和3年度の12月に発表される仕組みとなっています。このページでは、令和3年度の12月に閣議決定された令和4年度の相続税改正について解説していきます。

また、令和4年度の相続税改正として、
主税局税制第一課主税調査官
坂井 裕幸氏

主税局税制第一課課長補佐
岡﨑 猛氏
田中 雅敏氏


以上の方が詳細を解説されていますので、そちらを引用しながら変更点を解説したいと思います。 原文については、国税庁のHPのこちらを参照ください。


■1相続税に係る死亡届の情報等の通知方法の改正
(1)法務大臣は、死亡等に関する届書に係る届書等情報等の提供を受けたときは、その届書等情報等及びその死亡等をした者の戸籍等の副本に記録さ れている情報を、その提供を受けた日の属する月の翌月末日までに、国税庁長官に通知しなければならないこととされました。
(2)市町村長は、その市町村長等がその市町村の住民基本台帳に記録されている者に係る死亡等に関する届書の受理等をしたときは、その死亡等をし た者が有していた土地又は家屋に係る固定資産課税台帳の登録事項等を、その届書の受理等をした日の属する月の翌月末日までに、その市町村の事務所の所在地の所轄税務署長に通知しなければならないこととされました。

【解説】
死亡届が提出された後の「国側の処理」のため、割愛。


■2.相続税等に関する調書の改正
(1)信託に関する受益者別(委託者別)調書について、「信託財産の価額」 の欄に記載すべき相続税評価額の算定が困難な場合には、見積価額を記載しなければならないこととされました。
(2)調書の提出方法について、磁気テープを提出する方法が除外されました。

【解説】
信託における受益者とは、信託契約によって経済的利益を受ける人を指します。委託者とはその名の通り財産を委託する人です。相続に例えると、委託者は財産を遺す人を言い、受益者とは、相続財産を受け取る人を指します。令和3年度の改正では、委託された財産の内、相続税評価額として算定が困難な財産については、見積額を調書に記載するよう改正されました。尚、調書は委託の効果が発生した場合や、委託が終了した場合にその評価額を記載するものです。 この手続きの根拠は相続税法第59条第3項に起因し、調書の提出期限は調書を提出すべき事由が発生した日の属する月の翌月末とされています。


■3.直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置等の改正
(1)適用期限が令和5年12月31日まで2年延長されました。

(2)非課税限度額は、住宅用家屋の取得等に係る契約の締結時期にかかわらず、住宅取得等資金の贈与を受けて新築等をした次に掲げる住宅用家屋の 区分に応じ、それぞれ次に定める金額とされました。
①耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋 1,000万円
②上記以外の住宅用家屋 500万円

(3)適用対象となる既存住宅用家屋の要件について、築年数要件が廃止されるとともに、新耐震基準に適合している住宅用家屋(登記簿上の建築日付 が昭和57年1月1日以降の家屋については、新耐震基準に適合している住宅用家屋とみなします。)であることが加えられました。
(4)受贈者の年齢要件が18歳以上(改正前:20歳以上)に引き下げられました。


【解説】
3直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の適用期限が適用期限が令和 5 年12月31日まで 2 年延長され、「耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋は1,000万円 」「それ以外の住宅用家屋は500万円」までが非課税となります。非課税限度額は、住宅用家屋の取得等に係る契約の締結時期にかかわらず、住宅取得等資金の贈与を受けて新築等をした住宅用家屋が対象となります。


■4.農地等に係る贈与税・相続税の納税猶予制度等の改正
農用地利用集積計画の農用地利用集積等促進計画への統合等の措置が講じられた後も、同計画に基づき貸借する特例農地等に対する本制度の適用関係は改正前と同様とされました。

【解説】
特例農地等に対する贈与税・相続税納税猶予制度の適用を維持。


■5.特定の美術品についての相続税の納税猶予制度等の改正
博物館法の規定により登録を受けた博物館及び指定を受けた博物館に相当 する施設について、審査基準の見直し等の措置が講じられた後も、美術品を見直し後の審査基準を満たす博物館等に寄託する場合には、引き続き、本制度等を適用することとされました。

【解説】
特定美術品についての相続税納税猶予制度を維持。


■6.非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予の特例制度の改正
特例承継計画の提出期限(令和5年3月31日)が1年延長されました。


【まとめ】
令和3年度の相続税改正に大きな改正はなく、事前に検討されていた贈与税非課税枠の撤廃は行われませんでした。贈与税非課税枠(年間110万円までの贈与は非課税)については、翌年度以降も引き続き注意する必要があるでしょう。